昨今、アジアの大学に進学する日本人が増えてきました。
最近のアジア熱の高まりを受けて、
と言う方もいれば
欧米諸国に行きたいが学費が高くて…、
と言う方まで目的は様々。
しかし確実にアジアの大学を卒業した生徒の社会的ニーズは高まりつつあり、日本の大学で中途半端な時間を過ごしている学生よりも魅力がある。
と、個人的にも思いますし、そんな声も増えてきているように思います。
タイは今やアジアで最も日本の大企業が進出している国ですからね。
そんな中、今日はタイはバンコクにあるアメリカの大学、サイアムテクノロジー大学に通う井上さんにタイ留学の体験談を聞いてみました。
なぜこのサイアム大学を選んだのですか?
実はこの大学に行く前は、歯科医師になろうと日本で歯科大学に通っていたのです。
これは親が歯科医だから、という単純な理由だったのすが、そもそも興味を持てなくて、大学を中退してしまいました。
そんな時にサイアム大の事を聞き、これだと思いました。
田舎に戻るのにも抵抗はあったし、小さい時から何度か海外でホームステイしていた事もあって、海外にはもともと興味があったんです。
他の国や大学とかは、比較したり考えたりはしなかったですか?
アメリカ、イギリス、オーストラリアには行った経験がありました。それぞれいい国ですが、アジアには行ったことなかったので。
それと、欧米は入学するためのハードルが高いですよね。
TOEFLのスコアを取ったりしてる時間がもったいないって思って(笑)取りあえず行ってから勉強すればいいかって感じで来てしまいました。
それに、「留学中、まわりに日本人がいると(日本語ばかり話してしまい)勉強にならないよ」
と友達から聞いていたのもあって、日本人がいない環境に飛び込んでみたかったんです。
この大学が日本人の生徒としては第一号だったと言うのもありましたしね。私、新しい物好きなんです。
留学費用が安いのでタイにした?という理由はなかったですか?
それも無くはなかったと思います。
アメリカの大学に行こうと思うと4年で卒業するとウン千万。
元々、歯科大を卒業するために用意してくれていた予算で卒業までするのは厳しかったと思います。
学校の様子を教えてください
このプログラム自体の生徒は全体で50人いないぐらい。私の学年の生徒は全部で8人。7月に少し増えるみたいですね。
中国人、ミャンマー人、カンボジアからが3人。アメリカ人が2人です。日本人は私だけで、実は女の子も私1人なんです。
先生はアメリカの先生が多く、ドイツ人の先生もいます。もちろん、授業は全部英語です。
2週間づつでかっちり終わっていくカリキュラムなんですが、授業は同じ生徒とずっと一緒に受けるイメージ。
昼ごはんもクラスの人とかと一緒にカフェテリアで食べてます。
授業や英語にはついていけていますか?
1月から来て今までに4人の先生から授業を受けましたが、朝9時から3時30分までみっちり授業をして、毎日レポート!と言うハードなクラスもあれば、午前中だけで終えて午後はプレゼン課題の準備、読書にあてて、という緩い場合もあります。
ついていけてるかはまだ成績が出ていないので、自分では良く分かりませんが、分からないところがあっても、質問したら分かるまで教えてくれるので助かっています。少人数のいい所ですよね。
それでも、統計学だけは分からなくて悩みましたね。映像授業が無料でみれるので、何度もみてやっと理解しました。
そういう勉強に対してのスタンスも先生が見ていてくれて細かく声をかけてくれるのは嬉しい点です。
もともと英語は出来たんですか?
こつこつ型じゃないので、文法とかが全然ダメですがリスニング(聞く)のとリーディング(読む)のは得意でした。
英検は3級だけど満点。TOEICとかは受けたことはないですが、7割正解するぐらいですかね。もともとリスニングは比較的出来たので、先生からもらうテキストを見ながら何とかやっています。
でも、自分はともかく、まわりの人がみんな英語話すのが上手いので、(自分より)出来るように見えちゃいますよね(⌒∇⌒)
タイの生活はいかがですか?大学外ではどんな事してますか?
映画は好きなので良く見に行ってます。もちろん英語ですが、何となく理解できるようになってきている気がします。
また、先日は博物館にも行ってきました。
実際に通学してみてはじめの印象とは違いましたか?
思ったよりも都会でした。日本の地方よりも発展してるんじゃないですかね。
もっと(発展していない状況を)覚悟していたんですが、行ったら全然問題なかった。
むしろ私の田舎、熊本よりも便利ですよ。
電車は6分に1本くるし。熊本は30分に1本ですよ。
まあ日本で言えば横浜ぐらいは発展しているイメージでしょうか。
タイに留学してみて、今、良かったと思う点は何ですか?
様々な国から人が集まっているので、クラスメイトや先生との会話を通じて、
それぞれの国について知ることができる事です。
自分が持っていた(その国の)イメージと違うことも多いので、楽しいです(⌒∇⌒)
授業も、日本で受けていたのとは異なる形態なので、驚きも多いですがその分面白みもあります。
デメリットというか、マイナス点をあえて挙げるとするとどんな点ですか?
衛生面を気にしすぎる人はダメかも。ストリートフード(屋台)がダメな人にはきついかもですね。
まあ、きれいなお店もたくさん有るので、そっちで食べればいいだけですけど。途上国は差が激しいですよね。
後、年間計画を立てるのは難しくて、日本にちょくちょく帰りたい人は困るかもしれません。
と言うのも学期でやるシラバスがちゃんと定まっていなくて。3ヶ月前とかにならないと予定が分からないとか、クラスが単位になるかどうか分からないとか普通です(笑)
日本人って、スケジュール決まってないと動きたくない!とか、かっちりしていないと嫌って言う人多いじゃないですか。
でもそれって日本人の発想で、アジア人はざっくりしているので、その辺には慣れないとですね。
留学費用や生活にかかる費用についてはいかがですか?
家賃は家具付きで4万円(12,000バーツ)ぐらいで25㎡ぐらいの所に住んでいます。治安も良く、困ることは何もないですね。
食費は外で食べたら120バーツ出せばなんでも食べれるますが、基本は自炊が多いです。
両親からの仕送りは家賃を含めて月6万円もらっています。(家賃を抜くと2万円程度なので)贅沢は出来ないですが、基本はほぼ勉強だけなので、それほど困ってはいません。
セブで集中的に受けた入学前の英語研修はいかがでしたか?
セブにも行った事がなかったので、タイの前に行けたのはとてもラッキーでした。
タイもそうですが、思ってたよりも都会で逆にカルチャーショックを受けましたね。
セブでは基本、学校とホテルの往復。生徒がたまたま私一人しかいなかったのでフィリピン人の先生方と仲良くなり、行動していました。
嫌だった点はアジア特有ですが、ホテルにアリがいたこと。
でも、毎日マンツーマンレッスンを受けて、最初よりは英語で会話できるようになった。英語脳がついたように思います。
これからタイ留学を考えている方にメッセージをどうぞ?
まず、国を問わず、留学することは、日本人が世界の人からどのように見られているのかを知り、また、日本文化の特殊性を考えるきっかけになると思います。
タイに留学することの大きなメリットは、「留学」と聞くと連想するような(先進的な)国とは違う国に住めることだと思います。
短期間ではなく、最低2年間、ここ現地の人たちと同じような生活をする。そうする事で、ただ「留学」をするのとは少し違った視点をもてるようになれるのではないかと思っています。
来てまだ3ヶ月ですが、私は結構気にいっています!
インタビューを終えて
日本人一号の生徒になるのはとても勇気のいる事でしたでしょう。
でも1000人の参加者がいるプログラムでも、はじめの1人がいます。
その開拓者にはリスクも大きい分、メリットもあると思います。
例えば費用。今ははじめたばかりなので生活費も含め年間150万円程度ですが、そもそもアメリカ本校は授業料だけで倍以上、生活費も入れたら4倍程度の費用がかかります。
世の中に、このプログラムが普及した際には、きっと値段も上がるものだと思います。
井上さんにはとったリスク以上の、実りある留学生活を送り、日本の土台を作って欲しいな、と思いました。