旅行なら、空港でパスポートを提示して出国手続きするだけですが、留学の場合、ある程度の長い期間日本からいなくなるということで、そのような人は、市町村役場で「海外転出届」を提出することが義務付けられています。

とはいえ、実際に届出をするべきかは各自の判断に委ねられているため、「結局、どうするのが一番よいの?」と知りたい人は、多いのではないかと思います。主には語学留学する方のために、「したほうがよいのか?しなくてもよいのか?」あなたのケースはどちらなのか分かるように、説明していきたいと思います。

なお、結論だけを先に書くと、「留学期間にかかわらず、できるならしたほうがよい」です。

1.海外転出手続きの種類と選択肢について


引用元:The used key is always bright.

日本国内で別の街に引っ越すときには住民票異動の手続きをしますが、「海外転出届」もこれと同様です。海外に引っ越しすることを市町村役場に届け出る手続きです。この手続きをすることにより、これまで加入義務があった健康保険、国民年金は加入義務がなくなり、日本国内にいない期間の住民税の支払いも必要なくなります。

なお、義務ではなくなった健康保険、国民年金ですが、「任意(継続)加入」するかどうかを選ぶことができます。加入するのなら保険料も年金も支払い続けることになります。留学への渡航前にはこれらをどうするのか決めて、必要な手続きを自分ですることになります。

「なにをどう」「する/しない」の選択肢は、短期留学と長期留学(目安として、期間1年以上)、さらには社会人とそれ以外でも若干異なります。基本的な結論は次のとおりです。

  • 短期留学:手続きするかしないかは、各自の判断です。しない場合は、日本にいない間の住民税についても、支払い義務が発生します。
  • 長期留学:手続きをしたほうが特になる場合が多いです。

これらの手続きに関する説明はアメリカ留学を例に「アメリカに長期留学する方必見!海外滞在中の住民票の手続きについて」記事で解説しておりますが、今回の記事では私の経験談を述べていきたいと思います。

税金手続きは人によっても状況が変わってきたりしますので、実際の体験談のひとつとして参考になればと思います。

2.留学期間が明確に決まっていない場合は、どうするべきか?

留学先が大学の場合は、留学期間が出発前にある程度決まっていると思いますが、語学学校に通う語学留学の場合、I-20で期間は決められているとしても、滞在中に転校して新たなI-20を入手すれば滞在期間は簡単に延長できますし、いつから通っていつ止めてもよいため、「先のことは分からない、いつ帰国するかは決めていない」ことになる人も多いと思います。(私がそうでした。)

回答:海外転出届を提出すべき

この場合は、とりあえずは「長期留学」するつもりで、一連の海外転出手続きを行うことをおすすめします。任意加入も必要ないです。

おすすめする理由は、私自身が実際に手続きしてみて、その結果も知った上で「メリットしかない」と思えるからです。手続きは少し面倒に感じるかもしれませんが、ぜひやってみてください。

ちなみに、健康保険がいらない理由は、留学先の保険は別に加入することになるし、日本の健康保険が海外ですぐに役立つことはないからです。以下の記事もぜひ参考にしてみてください。
» 留学の保険はどんな補償があればいい?保険料大幅節約方法まで大公開

なお、一時帰国した間は保険が全くないことになるのですが、例えばインフルエンザにかかって日本で保険なしで病院に行った場合の費用は、1万5千円~2万円程度です。一時帰国のことだけ心配して、利用しない期間の高額な保険料まで、任意継続して支払い続けるなんて無意味であることは明確ですよね。

3.「留学資金に回せるお金が増える」ことが、手続きするメリット

海外転出の手続きを行い、健康保険も国民年金も「任意継続しない」ことにしたときの最大のメリットは、支払わなくてよくなったお金を、留学資金に回せることです。手続きするのとしないのとでは、どれぐらいの金額差があることになるのでしょうか?

それはズバリ、「現在支払っている健康保険料と年金の金額分」丸ごとです。社会人の方は、毎月の給与明細で社会保険料がいくら天引きされているかを確認すると分かりやすいと思います。なお会社の健康保険はその金額ですが、退職して国民健康保険に任意加入した場合の保険料は、それよりもかなり高額になります。

また、手続きすることで、これまでは興味がなくて知らなかった社会保険の仕組みを深く知る機会にもなります。私は、このこともメリットだったと思っています。

4.留学前の住民票や年金の上手に手続きするコツ

私は実際に手続きをしてみて、学んだことがありました。この先手続きする方のために、知っておいたほうがよいことをご紹介します。

住民票の「異動日」には要注意

異動日は、自分で好きな日に決めることができます。手続きには、渡航のための航空券や学生ビザなどの証明は何もいりません。印鑑だけ持参すればOKです。(市町村によっては異なる可能性がありますので、念のため、手続きに行く前にはご自身で市町村役場に確認してください。)

この異動日の設定によって、留学に回せるお金が1か月分変わってくることになりますので、以下の説明を読んでぜひ上手に手続きしていただければと思います。

健康保険と年金の加入義務がなくなる日「資格喪失日」は、住民票の異動日の翌日です。例えば、9月から留学するからと、異動日を「9月1日」にすると、「資格喪失日は9月2日」になるため、9月分の健康保険料と年金は支払わなければならないことになります。

私の場合は、先に何も知らずに「異動日: 9月1日」で手続きしたのですが、国民年金の窓口でこのとおり損になることを知ったため、すぐに住民票の窓口に戻って再手続きをしました。

日本を実際に出国したのは9月6日でしたが、住民票の異動日は8月30日にしました。(31日とギリギリにすると、また何か知らないところで不都合が出る可能性もあるのかもしれないと思い、1日余裕を持たせました。)ちなみに、退職日は8月31日です。でもそれで問題になったことはありませんでした。

年金を前納で支払済だった場合は、還付も可能

住民票の異動手続きが終わった後、健康保険も国民年金も任意加入しない場合は、特に追加手続きはありません。それでも国民年金の窓口に私が行った理由は、国民年金を1年分前納していたため、支払義務がなくなる月の分を還付してもらいたかったからでした。前納すればほんの少し割引になる年金ですが、還付の手続きをしたところ、割引金額関係なく過納付になる月数分の金額を還付してもらうことができました。

(なおこの手続きは、将来的に留学期間分の年金も納めたほうがよいと考えている人には、必要ないと思います。)

蛇足ですが、還付された年金は銀行口座への振込でした。前納のときにマイルやポイントが貯まるクレジットカードを使って支払っていた場合は、…ここでは割愛しますが、この先の意味が分かった方は自己責任にてお願いします。

5.留学期間が1年未満の場合も、手続きできるのか?

ここまでの説明で、1か月分でも2か月分でも、手続きするとそれだけ留学資金を増やせることがお分かりいただけたと思います。

さすがに「留学期間1ヵ月」と分かっている人が手続きしようとすることは稀だと思いますが、3か月や6か月の期間しか留学しない予定の人でも、海外転出届をすることはできるのでしょうか?

答えは「できます」です。「いつ帰国するかは、明確に決めていなかった」私も手続きできましたから確実です。もし住民票の窓口で、海外に滞在する期間を確認されたときには、「未定ですが、1年以上になる見込みです。」と言えば断られることはないでしょう。

6.帰国後の住民票復活手続きは早めにしよう。遅れると「住所不定」にされてしまう

留学前に必要な手続きを解説しているサイトは多くありますが、帰国後の説明までしてくれているところは、ほとんどないですよね。

帰国後、住民票復活の手続きをする必要があることは、きっとご存知だと思いますが、2週間以内にしたほうがよいことは、ご存知でしょうか。その理由もあることはご存知でしょうか。

当時、その理由までは知らなかった私は、しない結果がどうなるかまでは深くく考えていなくて、大失敗しました。

帰国前に就職先は決まっており、勤務先での受け入れ手続きが終わった頃にその街へ引っ越しすることになっていた私は、帰国後実家に滞在している間、すぐ引っ越しすることになるだろうからと、住民票復活の手続きをしていませんでした。結局、勤務先の手続きは予想よりも時間がかかったことで、引っ越し先の街の役場に出向いたのは、帰国してから1か月以上経っていたと思います。

留学出発前の住民票異動のときには「移転先: アメリカ・ニューヨーク市」と記入して手続きしたので、住民票を復活させると、「アメリカ・ニューヨーク市から転入」とのカッコイイ記載が追加されるのだと、勝手に思っていました。

「住所不定 から転入」

しかし、窓口でニューヨークに留学していたことを伝えてパスポートで入国日を確認されたあと、なんだか様子がおかしくなりました。これまではどこに住んでいたのかと聞かれ、別の県の実家にいたことを伝えると、ほどなくして出てきた住民票には、「住所不定 から転入」との記載…えーっ?!「アメリカ・ニューヨーク市」などという記載はどこにもありません。

実家にいたことは疑われていない様子でしたが、公的な手続きはしていなかったため、証明できる手段はないということで、書類上はそうなってしまうそうです。カッコよくなるどころか、「住所不定」との記録がずっと残ってしまうなんて、カッコ悪すぎー。悪いことでもして隠れていた人みたいです。

その後も、誰がどう見ても不審な印象なので、住民票の提出が必要なときには「この記載は、アメリカに留学したあと住民票復活の手続きが遅れたためで…」といちいち説明することになっています。

みなさんはぜひ、こうならないように早めに手続きしてくださいね。

記事が参考になれば幸いです。