島国が多いオセアニアの中で、オーストラリアにほど近いニュージーランドは、日本に比べのんびりした印象で、ワーキングホリデーや留学に人気の国となっています。
留学を経験した人の中には、ニュージーランドが大好きになり、もっと長く住みたいという方もいるでしょう。ニュージーランドへ移住する方法って簡単?
1.ニュージーランドへ移住するメリット
ニュージーランドに移住するメリットから、まずはご紹介していきます。
日本と同じく四季がある
ニュージーランドは、日本と季節は逆になるものの、四季がありますので親近感が持てます。季節が逆なので、寒いのが苦手な方は、日本の冬にニュージーランドに行く、逆に暑いのが苦手な方は真夏を避けて両国を上手く移動してもよさそうです。
治安も悪くない
ニュージーランドはほかの国と比べても治安はよいとされているので、安心して住むことができます。とはいっても日本に比べると犯罪発生率は高いので、油断してはいけません。車上荒らしや空き巣、置き引きなどの軽犯罪に注意しましょう。
家族や自分の時間を大切にできる
日本でも現在働き方改革がよく叫ばれていますが、ニュージーランドでは、残業がほとんどないとされています。そのため、日本で労働時間が長い環境に疲れた方で、ニュージーランドに来るとその違いにカルチャーショックを受ける方も多いよう。ニュージーランドは娯楽が日本に比べては少ないようですが、仕事時間とプライベート時間がしっかりと区別されているので、自分や家族との時間を大切にできるのがよいです。
実際にニュージーランドでは、プライベートを大切にしていますので、毎晩家族そろっての夕食や夏休みには毎年家族旅行という家庭も珍しくありません。また、日本では消化することが難しい有給休暇も、法律によってとることが労働者の権利としてあり守られていますので安心です。
永住権を一度取ればあとは自由
ニュージーランドの永住権は、一度取得してしまえば失効することがないとされています。ほかの国では、永住権を更新しないと失効してしまうことがあるのですが、ニュージーランドは一回国外に出てしまってもいつでも帰ってこられるという安心感があります。ただし、最初の2年間は仮免許証ならぬ仮永住権となっていますので、更新手続きに注意しましょう。
市民権を得ればオーストラリアにも移れる
ニュージーランドの永住権を取得し、市民権もゲットできれば、オーストラリアにも移住することができます。永住権は消滅しないので、賃金がよいオーストラリアと行き来してもよいかもしれません。
社会保障がよい
ニュージーランドの税金は日本よりも高いですが、社会保障の面は年金や医療などよいとされていますので、家族で移住される方も多いようです。
人が少ない
日本には1億人を超える人が住んでいますが、ニュージーランドの人口は500万人もいないとされています。大きさは日本の70%ほどといっても、日本に比べると人口密度が低いことがうかがえます。じつは人よりも羊の方が何倍も多いとされていますので驚きです。
食べ物がおいしい
ニュージーランドは肉や野菜など国内で生産しているものが多いので、いつでもフレッシュな食材を手に入れることができます。国によっては、魚があまりないということもあるかもしれませんが、ニュージーランドは海に囲まれているので、魚介類も豊富です。
環境がよい
ニュージーランドは緑が多く、空気が綺麗です。電力も風力や太陽光など、自然に頼っている部分が多いということもあります。ニュージーランド人は水も大切に使っていますので、家庭内でのシャワー時間は数分~長くて10分ほどです。
ニュージーランドでは国立公園や山脈、湖、氷河など自然の観光地が豊富で、サイクリングやトレッキングなども気持ちがよいです。また、日本ではみられないような野生動物、羊の群れなどを見ることもできます。
2.ニュージーランドへの移住はデメリットもある
メリットは多い反面、デメリット面もいくつかあります。
物価が高い
ニュージーランドは以前は物価の安い国とされていたんですが、近年ではものによっては、昔から物価が高いと言われているオーストラリアより高い傾向もあります。そのうえで賃金は日本よりも高いものの、オーストラリアよりも低いです。
物価では、とくに不動産の高騰が止まらず、大都市のオークランドで住んでいる方の中には家賃が高すぎて別の都市に移ったり、帰国したりする方もいるようです。オークランドは人口も仕事も集中していますが、金銭面を考えると別の街の方がよいかもしれません。
税金が高い
社会保障が手厚い反面、消費税をはじめとした税金は高いとされています。
仕事探しは簡単ではない
移民が増加していることもあり、仕事探しは簡単とはいえません。しかし、堪能な語学力や専門技術、日本での経験を活かしたような仕事ならチャンスは多いと思います。また、そういった経験や語学力、技術がなくても、熱意や運、人脈、行動力次第で仕事は見つけられることもあります。求人サイトや、情報誌、人脈、飛び込み訪問などいろいろな方法を試してみましょう。
お金がかかる
物価や家賃などが高いので、お金はかかります。しかし、アメリカやイギリスに比べると学費などは低めとされています。ただし、永住権を狙っている方の多くは1年以上学校に通うという方も多いと思います。永住権を取るには年数も結構かかることが想定されますので(長い方は10年以上という方も)、現地で働くにしろ、300万円以上の資金は覚悟した方がよいでしょう。
日本より不便なことも多い
日本では、コンビニをはじめとした24時間営業の店も多いですし、娯楽もたくさんあります。一方のニュージーランドは、夕方になると閉まってしまうお店が大半なので、日本で都会に住んでいた方でしたら不便に感じることも多いかもしれません。
また、日本では定刻に来るバスや電車もニュージーランドでは遅れてくることは珍しくありません。数分おきに定刻に来るような環境にいた方は、イライラしてしまうこともあるかもしれませんが、お国柄なので、そのうち慣れるかと思います。
地震も起こる
ニュージーランドは火山もあり、地震も起こりやすいです。実際に2011年にクライストチャーチ周辺で起こった地震では、100名以上の日本人が犠牲となりました。2016年にも、大きな地震が起こっています。日本も地震のリスクはありますが、今後ニュージーランドで移住するなら、滞在中に地震が起こる可能性は覚悟した方がよいでしょう。
天気はあまりよくない
ニュージーランドの気候は1日の中で、めまぐるしく変わるほど、天気が変わりやすいです。気温差が朝晩激しいこともあるので、服装に気をつけましょう。また、曇りでも紫外線が日本よりも強いので、日焼け対策をしっかりとする必要があります
たいていの方はニュージーランドへ1人で来て、人脈を広げていきます。しかし、人間関係に悩んだり、時にはホームシックになることもあるかもしれません。天気が悪い日ばかりだと、気持ちもネガティブになりやすくなるので注意が必要です。
3.移住を目指すならどんな留学をすればよい?
ワーホリや短期留学する
よさそうな国に見えても、実際に自分に合うかどうかは住んでみなければわかりません。住んでみてやっぱり自分は日本の方がいいと思うこともあります。移住を決意する前に、まずは一度ニュージーランドで生活してみましょう。
語学留学やファームステイなどで1週間などの短期から挑戦することもできます。おすすめは学校にも通え、働くこともできるワーキングホリデーです。ワーキングホリデーの期間は1年で、指定のファームで3か月以上働けば、さらに3か月の滞在延長も可能です。
1年もあれば、自分がニュージーランドに合っているか、合っていないかもわかるでしょう。中には、オーストラリアのワーキングホリデー後に、ニュージーランドでワーキングホリデーをする方もいます。(逆の方もいます)
実際に移住を決めるキッカケはワーキングホリデーをして好きになったという方や、パートナーができてという方は多いですよ。ワーキングホリデーは、年齢制限が18歳~31歳未満とあるので、条件を満たしていれば、試してみてはいかがでしょうか。
英語力をつける
移住するには、ある程度の英語力は必要かと思います。日本にいるうちから、英語の勉強はしておきましょう。語学学校に通うにしろ、基礎の英語ができていないと授業についていけない可能性があります。
ニュージーランド英語の発音はアメリカよりもイギリスよりです。早口なので、はじめのうちは全然聞き取れないこともあるかもしれません。日本にいるうちから、動画やスカイプレッスンなどでニュージーランド英語に慣れておくのがおすすめです。
永住権を狙う方は、IELTSという英語の試験で6.5以上は必要とされています。IELTSは1から9までレベルがあり、6.5は上級者レベルです。日本では英語の試験といえば英検やTOEICが主流かもしれませんが、海外ではIELTSやTOFLEのスコアを求められることが多いでしょう。
IELTS6.5は、TOEICで例えるなら、800点台後半~900点台といったところで、英検なら準1級もしくは1級レベルと、決して簡単とはいえないレベルです。自分で勉強できる方は独学で、難しい方はIELTSの専門コースを受講されるとよいでしょう。
永住権申請前でも、専門学校や大学の入学時にIELTSのスコアを求められることもあります。求められなくても、専門的なものだからこそ、それなりの英語力が必要なことを覚悟しましょう。英語に自信のない方は、大学や専門学校の前に語学学校で鍛えられることをおすすめします。
技術を身につける
一般的に永住権を取る方は、専門的な技術を学ぶ学校を卒業し、就職をして申請するという方が多いです。(ほかにもニュージーランドで起業や投資という方法もあるのですが、なかなかハードルが高いので…)とはいっても、全く未経験で就職できるほどの技術を海外で身につけるのは容易なことではありません。
日本でまず、ニュージーランドでも役立ちそうな技術の仕事に就き、実務経験を積む、もしくはすでに日本でずっとやっていた仕事と同じ職にニュージーランドでつくなどが近道かと思われます。
また、どれがよいのかわからないという方は、移民局のホームページで、こんな職業の人をニュージーランドは募っているというページがあります。
移民局のホームページはこちらへ
Skill Shortage List Checker – Immigration New Zealand
就職する
ニュージーランドで働くためのワークビザを発行してもらい、移住する方法です。就職するには、学生ビザやワーキングホリデービザが有効なうちに、ニュージーランドで内定をもらうか、日本国内で求人を見つけて応募するという方法になります。訪問者ビザでは、働くことや就職活動はできないのでご注意ください。永住権を狙うなら、永住権の対象ポイントになる職に就くことをおすすめします。
結婚する
ニュージーランド人や永住権を持っている人の、配偶者として移住ができます。ただし、移民局に認めてもらうためにはパートナーとの同棲の事実や、結婚の証明、2人の手紙やメールのやり取りなどといった証拠が必要になります。これらの証明書類は、用意するのは大変でしょうが、おそらく永住権狙いの移民を防止するためではないかと思われます。
老後に入ってから
リタイアメントと呼ばれる66歳以上を対象としたビザがあります。このビザでは、ニュージーランドで2年の滞在ができます。若い頃から海外に行くのが夢だったけど、定年まで仕事が忙しかった方におすすめです。ただし、日本円で6千万ほどの資金を移民局指定の投資先へ預ける、十分な生活資金4千万近く持っているなど、ハードルは低くありません。
2年の有効期限で、この条件なら、ゴルフなどのアクティビティを兼ねたおけいこ留学の方がある意味、お金をそれほど準備しなくてもよいので、挑戦しやすいのではないかと思います。留学に年齢制限はありませんのでシニアになってから、挑戦する方もいますよ♪
4.永久移住は簡単ではない
ニュージーランドの永住権取得は昔よりも難しくなったとされています。原因としては、昔以上に移民が増加したことにあるでしょう。そのうえで生粋のニュージーランド人たちは、お隣のオーストラリアの方が賃金がよいということで流れていってしまうという問題もあるようです。
また、時間や手間をかけてせっかく永住権をとっても、家賃や物価の高さから日本に帰国したり、別の国に移ったりする方もいるようです。とはいっても、今のところ永住権をとってしまえば、またいつでもニュージーランドに帰れるというのは、見えない将来を考えればニュージーランドへいつでも帰れるんだということで安心感を持てそうですね。
永久移住の永住権は難しくても、更新型のワークビザやワーキングホリデービザ、学生ビザを使って一定期間の移住を図ることは可能ですので、まずはできるところから挑戦してみてはいかがでしょうか。