カナダワーホリで必要な『税金・所得税・確定申告』の知識【解説】

カナダワーホリで必要な『税金・所得税・確定申告』の知識【解説】

税金、所得税、確定申告、これらの言葉を聞くとどう感じますか?面倒な手続き、良く分からないなどでしょうか?しかし、知ってみればそれほどのものではなく、目的がワーホリである場合には得をする、出費を抑えることができるかもしれません。

当記事では、そんな税金、所得税、確定申告があなたのワーホリ先のカナダではどうなのかを紹介しますね。

それらのことを知ると、やっぱり面倒なものと思わるかもしれませんが、その知識は必ずカナダワーホリで役立ちますよ。

※別のタックスリターンの記事と重なった内容もあるのですが、当記事では紹介していない場合についての手続き方法などを紹介しています。

※記事のなかで紹介した日本円は、2018年2月中旬の換算レート、1カナダ$=84.69円で換算しています。

1.カナダワーホリで必要な税金、所得税、確定申告の知識

冒頭でもふれたように、税金、所得税、確定申告と聞くと、面倒な手続き、良く分からないなどのイメージはないでしょうか?それらは、日本にもあるので、言葉そのものは聞いたことがあると思います。では、どんなものなのかはご存じでしょうか?

最初のこの項目では、ひとつずつカナダではどういう制度なのかと、その手続き方法を紹介していきます。

結果、やっぱり面倒、良く分からないと思ったとしても、その知識はカナダワーホリ時や日本でも役立ちますので少し時間を割いて読んでみて下さいね。

①:カナダワーホリと税金

まずは、ワーホリ先のカナダにどんな税金があるのかですが、種類はさまざまあり、カナダワーホリの時にもっともあなたに関係があるのは関税以外の諸税です。

種類は、「連邦付加価値税」「連邦消費税」「消費税」「州売上税」「統一売上税」「アンチ・ダンピング税」があります。

なかでも、私達にもっとも身近な、買い物やサービスを受けた場合に課税される消費税ひとつをとっても、課税方法に特徴があります。日本では、統一されて5%ですが、カナダではそもそも州によって税金制度が異なるので、カナダではいくらというシンプルな表現はできないのです。

その種類のうちのひとつの州税は、州によって異なります。ですので、あなたが買い物をする州、サービスを受ける州によって支払う料金が違うということもあるのです。

では、詳しく消費税について「JETRO日本貿易振興機構ジェトロ」の「関税以外の諸税」(出典:JETRO日本貿易振興機構ジェトロ「関税以外の諸税」)のページを参考にして紹介すると種類が下記のとおり3つもあります。

  • GST連邦不可価値税(Goods and Services Tax)・・・5%
  • PST州売上税(Provincial Sales Tax)・・・州によって税率が異なる
  • HST統一売上税(Harmonized Sales Tax)・・・適用される州が決まっていて、適用税率も州によって異なる

そして、その3つの税金は、それぞれ課税対象や税率などが異なります。まず、GST連邦不可価値税ですが、これは日本の消費税と同じように、税率はカナダ全土一律で5%です。

次に、PST州売上税ですが、この税金は州税ですので、州によって税率が異なります。ですので、PST州売上税が課税対象になる州ではGST連邦不可価値税+PST州売上税を足した金額が課税されることになります。

次にHST統一売上税ですが、この税金は、対象の5つの州のみで課税される税金で、連邦消費税と州税が含まれています。適用されている5つの州のGST連邦不可価値税+PST州売上税の総称のようなものです。

HST統一売上税の対象の州は、下記の5つの州です。

  • ノヴァ・スコシア州
  • ニュー・ブランズウィック州
  • ニューファンランド&ラブラドル州
  • プリンスエドワード・アイランド州
  • オンタリオ州

カナダ国内でも州が変わると購入価格が異なるのは、このことも大きく影響を与えています。

ほかにも、日本と異なることがあります。それは、外税になっている場合が殆どであることです。お店で何かを買う時に、商品などに表示、記載されている価格では購入できないのです。

ですので、支払う前に自分で金額を計算する場合、表示価格+GST連邦不可価値税5%と、その州のPST州売上税、または、該当する5つの州であれば表示価格+HST統一売上税という計算をしなければいけません。

そのような制度ですので、自分で計算するのはなかなか大変です。参考までにCalcul Conversion(出典:Calcul Conversion)という州ごとの税金を自動計算してくれるページがありますので、事前に支払い価格を知りたい場合には利用してみて下さいね。

カナダでは、最大で15%の消費税がかかるようですので、これらの知識がないと支払う時にびっくりすることもあります。

そのように日本よりは高い税金ですが、課税対象になるものとないものもあります。大まかなくくりでいうと、生活必需品や医療費、薬代には課税されないことが多いようです。しかし、この生活必需品の基準もまた州によって異なります。

「最終的な支払い額を知るには、買い物した時のレシートをチェックし、課税された税金の種類と税率を見て下さい」と、多くのカナダの情報で紹介されているのはそういう背景があるからです。

ほかにも注意が必要なのが、税制度は変わる可能性があることです。たとえば、HST統一売上税対象のBC州とオンタリオ州ですが、2010年7月1日付で、PST州売上税とGST連邦不可価値税を統一して課税することが決められました。ですが、2014年4月1日から住民投票の結果、GST連邦不可価値税(5%)、PST州売上税(7%)に変更されています。

そして紹介したカナダの税金ですが、FCTIP(Foreign Convention and Tour Incentive Program)(出典:Advice for Visitors to Canada「Canadian Visitor Tax Refund」)という制度があり、申請をすれば一部払い戻される場合があるようです。

それには、カナダへの旅行者で物品や宿泊費に課税された場合など、該当する対象の支払いであることが条件になります。

対象になるケースは、ほかにもあり、添付されているwebサイトに記載されているのですが、参考までに紹介すると、短期間宿泊でのビジネスのための訪問、展示会の出品者、目的ある宿泊付きツアーパッケージが対象になるようです。そして、条件は細かいようですので、支払った費用が該当するかどうかを必ず確認する必要があります。

ほかにも、消費税以外にカナダワーホリの時に関係がある税金に所得税がありますので、次の項目ではその所得税について紹介しますね。

②:カナダワーホリと所得税

日本でもお馴染みの所得税。この言葉も税金として、あなたも身近な税金のひとつですね。そんな所得税ですが、カナダワーホリ時に働き給料から差し引かれるIncome tax、税金のことを意味しています。

では、カナダの所得税がどんなものかですが、Federal Income Taxという連邦法人所得税と、Provincial Income Taxという州法人所得税があります。

カナダワーホリ時に関係があるのは、Federal Income Tax連邦法人所得税で、その標準税率は、15%です。もしも、収入が30,000カナダ$(約2,540,000円)であればもっと高い税率で課税されます。

そのように、天引きされる税率は日本と異なりますが、制度の内容は日本と同じで、雇用先の会社や企業が概算によって税金を、月々の給料から天引きするというものです。

その毎月天引きされた所得税は、T4という源泉徴収票が発行されてから確定申告をし、実際に支払ってもらった給料から算出された税金との差額を調整するものです。

日本では、例外がない限りは会社がまとめて年末調整でそれらのことを行なってくれているのですが、カナダでは自分で行ないます。それが、確定申告で、手続きについては、次の項目の確定申告で紹介していきます。

③:カナダワーホリと確定申告

②で紹介した給料から毎月差し引かれるIncome tax、所得税ですが、条件に該当する場合申請すれば、還付を受けることができるかもしれません。

日本では、毎月給料の支払い先である会社や企業が年末年始にかけて、実際に支払った金額を元に計算した税金を算出し、差し引いた金額が多ければ還付してくれ、少なければ支払わなければいけませんね?

前の項目でも紹介したように、自分でしなければいけない確定申告の手続きですが、対象になる給料の申告期間は、毎年1月から12月です。そして、4月30日までに確定申告を自分でしなければいけません。

多くの他国のワーホリ滞在者は、自分はカナダ国民ではないので、申請する必要がないと思う傾向があるのですが、6ヶ月以上申告対象期間にカナダで働いていれば申告する資格があるとのことです。

そして、日本では働くなど、収入のある人が行なう確定申告ですが、カナダでは学生でも確定申告の手続きを行ないます。

そのことは申告対象になる項目から分かりますので、「CANADA LIFE MAGAZINE」の「ワーホリの難関!タックスリターンについて調べてみた。」(出典:CANADA LIFE MAGAZINE「ワーホリの難関!タックスリターンについて調べてみた。」)のページを参考に紹介します。

申請の対象になる項目はさまざまあるのですが、ワーホリ滞在者でも該当する可能性があるものは、受給金(失業保険など)、T2202授業料、医療費、寄付金、交通費(トランジットパス、申請対象年度の収入が11,000カナダ$(約931,590円)の人はメトロパスの交通費を申請できる)、家賃(British Columbia州は対象外、翌年7月までカナダに居住していることが条件)などです。

以上が、カナダワーホリ中にあなたにも関係があるカナダの税金制度の紹介でした。では、これらの税金の申告手続きはどうすればいいのでしょうか?次の項目ではそれらの手続きについて紹介しますね。

2.カナダワーホリ時の税金、所得税、確定申告の手続き

早速、カナダワーホリ時にあなたがしなければいけない税金の手続きについて紹介しますね。

日本でも馴染みがある手続きでも英語で行なわなければいけませんので、少し難しく感じるかもしれませんが、内容はシンプルです。ただ、必要な書類を集めるのが大変、控除対象になるのかが分からない場合があるかもしれません。

しかし、最長で1年間のカナダ滞在中であれば、申告するものが多くない、対象になる収入が多額ではないなど、手続きは比較的簡単である、還付される場合のほうが多いですので、損しないためにも手続きはして下さいね。

①:カナダワーホリ滞在者に必要な税金の手続き

最初は、カナダの税金に関することなのですが、買い物や何かサービスを受けた時には、対象税金を含んで支払いをするので、手続きとしてあなたがしなければいけないことはありません。

しかし、1の項目で紹介したように、FCTIP(Canadian Foreign Convention and Tour Incentive Program)で還付される対象になる支払いであれば手続きをすれば一部返金される場合があります。

対象になる消費税は、GST連邦不可価値税とHST統一売上税です。支払い金額は最低200カナダ$(約16,940円)です。

申告の仕方は、その項目で紹介したページに記載されているのですが、申告対象になる支払いがあれば、申告フォーマットCanada Revenue Agency website(出典:Canada Revenue Agency website)に必要事項を記載し、申告した対象支払いのレシートを添えて申告できるようです。

以上が、税金の手続きについてでしたが、紹介したように、FCTIP申請対象にならなければ、自分でする手続きはありません。

では、日本でも馴染みがある所得税の手続きを次の項目で紹介します。

②:カナダワーホリ滞在者に必要な所得税の手続き

所得税の手続きですが、月々の所得税の支払いは勤務先の会社や企業が国に概算した税金を納めてくれいますので、あなたが特に手続きをする必要はありません。

しかし、あなたに給料を支払っている会社や企業は、あなたに対して、毎月概算で天引きした支払い額と天引きした税金が掲載されたT4という、日本でいう「源泉徴収票」を用意しているので、それを手に入れる必要があります。

この源泉徴収票がないと、収入がいくらあって、それに対していくらの所得税が課税されたのかを証明することができないため確定申告ができなくなります。必ずT4を手に入れることを忘れないで下さいね。

ちなみに会社や企業は給料から天引きし、その金額や支給額などが記載された源泉徴収票を発行することは義務になっています。

そして、この後に紹介する確定申告で、関連した手続きを行なうので詳しくはその時に紹介しますね。

③:カナダワーホリ滞在者に必要な確定申告の手続き

最後に、確定申告の手続きですが、自分でする方法と代公してもらう方法があります。これらのことは全て英語で理解して行なわなければいけませんので、英語力に自信がない人は代公に頼むほうがいいようですが費用が必要です。

自分でもできない手続きではないようですので、webサイトなどを参考に行なってみるのもいいかもしれませんね。

申告の仕方については別のカナダのタックスリターンの記事で紹介しましたので、この項目では、その手続きが日本でもできるかを「カナダシロップ」の「帰国者必見 タックスリターンの申請方法について」(出典:カナダシロップ「帰国者必見 タックスリターンの申請方法について」)紹介をします。

まず回答からお伝えすると、カナダから帰国して日本でも確定申告をすることはできます。その場合には、還付があった場合の支払い先によっては、手数料が発生する場合があります。

どんな場合かというと、還付金送付先を日本の口座にした場合です。その場合には、振り込みサービス料などの別途料金が必要になりますので、カナダの口座を締める前に確定申告を行なったほうがいいようです。

なかには、確定申告をした後に還付金を受け取れないまま日本に帰国する人がいらっしゃるかもしれませんね。その場合には、還付金の返金分を小切手で、国際郵便で送ってもらえます。

申請時の受け取り住所を、日本の住所を記載するだけの手続きです。カナダドルの小切手で送られてきますので、受け取ったら銀行に行き、日本円に換算してもらわなければいけません。その時には手数料がかかります。

そのほかにも紹介しておきたい、確定申告についてですが、カナダワーホリする前に日本で働いた収入に対する確定申告を、カナダでする場合です。

カナダワーホリする人の中には、日本の確定申告ができないままカナダに渡航する人もいらっしゃるので、そういう人向けに。

「DOGA² BLOG」の「出発前準備編 ワーホリ渡航前に実施すべき公的手続きPart.1」(出典:DOGA² BLOG「出発前準備編 ワーホリ渡航前に実施すべき公的手続きPart.1」)によると、これから紹介する2つの方法で申告ができます。

ひとつは、出発前に準確定申告を済ませる方法です。手続きは、自分で行なうことができ、確定申告を早い時期にするだけの違いで手続きも通常の確定申告と変わらないのでおすすめなのですが、問題は源泉徴収票です。

通常源泉徴収票は、退職後約1ヶ月で用意して送られてくるものです。しかし、その時期に、カナダに既に渡航している場合には、源泉徴収がありませんので、確定申告の全ての手続きを自分ですることができません。

ふたつめの方法ですが、海外からオンラインで確定申告し、納税管理人に提出だけお願いするという方法です。

納税管理人とは、申告の手続きを一部代行してもらう人のことで、家族でも友人でも誰でも管理人になってもらうことができるそうです。

確定申告そのものは、自分で、オンラインで行なえるのですが、書類の提出を税務署に行なわなければいけないので、管理人を立てて、それだけを代わりに管理人にしてもらうことができます。

管理人を立てる時の手続きは簡単で、「所得税・消費税の納税管理人の届出書」を用意するだけでいいようです。

そのほかの手続きですが、その年の申告できる時期になれば、確定申告の手続きを国税庁の「所得税(確定申告書等作成コーナー)」(出典:国税庁公式ホームページ「所得税(確定申告書等作成コーナー)」)から行なうことができ、還付金があった場合には、その場で申請もできるようです。

以上が、カナダワーホリをした時にあなたにも関わりがある税金の紹介と、それに伴う手続きの紹介でした。

知ってしまえば難しい内容や手続きではないのですが、対象になるものの判断と、書類を集めないといけないこと、そして共通していえるのが、言語が英語という点が難しくさせているようです。

しかし、カナダに滞在するのであれば知っておいた方がいい知識と手続きです。カナダ渡航後に役立つ知識であることが実感できるのではないでしょうか?

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