2016年9月、カナダのバンクーバーで、語学留学中だった30歳日本人女性が、現地で知りあった男性に殺害されるという、たいへん残念なニュースがありました。留学先は多少違うにせよ、同じ年頃に語学留学をした経験のある私には、とても他人事には思えませんでした。

私自身の留学生活中のことを思い起こしても、このような事件に巻き込まれる可能性は、誰にでも、いくらでもあると思えます。

このような事件に巻き込まれる日本人女性が、この先一人でも減ってほしいと願わずにはいられません。私が思うことを書いてみたいと思います。

1.アラサーの女性ばかりが被害に遭っている理由

1.アラサーの女性ばかりが被害に遭っている理由

2007年6月にも、フランスで語学留学中だった女性が強盗に遭い、殺されたという悲しいニュースがありました。このときも被害者は30代の女性でした。

被害に遭っている「語学留学生」は、なぜアラサーばかりなのでしょう?それは単純に、この年代に留学を志す女性が多いから、ということになると思います。

この年齢で留学を志す女性像は、高い確率で「親のすねかじり」ではないです。毎日一生懸命働いて、自分で留学費用をコツコツ貯めています。出発前からしっかり語学の勉強にも励んでいます。世界に視野を広げたい、知識の幅を広げたいと、人生を楽しむことに前向きです。自分の人生と心を豊かにするためにと、大胆とも思える留学や海外生活をあっさり決断します。

そろそろ結婚のことも考えなければならない年齢。結婚して子供を産んだりすると、もう自分の好きなことはできなくなる。今を逃すともう次はないかもしれない。これも大きな理由で、アラサーの女性たちは、留学を本当に実現する行動力があります。こうしてアラサーの女性たちは、夢の語学留学へ旅立っていくのです。

2.何事にも前向き、決断の潔さと行動力が災いすることがある?

2.何事にも前向き、決断の潔さと行動力が災いすることがある?

語学留学を実行に移せるようなタイプの女性は、普段から行動力のあるタイプの方が多いと思います。好奇心も強く、何事も潔く決めてサッと行動に移します。

カナダで被害に遭った女性は、現地の無料の英会話サークルに行っていたと読みました。資金に限りがある自費留学、できるだけ長く滞在したい。学校以外で安く勉強ができるところが見つかったなら積極的に参加しようとするのは、行動派の語学留学生としてはごく普通の選択だと思います。

さらに現地の友人も作れそうとなったら、「無料の英会話サークル」はまさにうってつけです。留学先にそのようなサークルがあったら、私もきっと参加していただろうと思いました。良さそうな人がいれば、当然仲良くなる努力もするものでしょう。

すべてごく普通の行動であったと、私には思えます。なのに、無事帰国した私と、被害に遭った彼女の違いはなんだったのでしょうか。

3.「誘われた時の断り方」は知っておくべき

3.「誘われた時の断り方」は知っておくべき

夜の街には一切繰り出さなかった真面目留学生の私でも、そう頻繁にではありませんが、街なかで男性に声をかけられることは、ありました。

横断歩道で信号待ちをしているときや、地下鉄のホームで電車を待っているとき。ホテルのエレベーターの中でいきなり夕食に誘われたこともありました。朝8時前に、通学中の道端で声をかけられるようなことも…。出会いを求めている男性って、時間も場所も問わず本当にどこにでもいるものですね。

私の場合は、ナンパだと分かった瞬間、「興味ないです」とはっきり言いますが、それでも名刺を出される。幸い(?)名刺を受け取るとすぐ引き下がる人ばかりで助かりました。

私は、よい出会いがあればいいなとは思っていたものの、いざ声をかけられると尻込みするタイプで、本当に電話してみるようなことは一切しませんでした。だから、怖い思いをしたことは一度もないです。

怖い思いの「疑似体験」なら、一度だけありました。私が通った語学学校で、「バーで男性に誘われた時の断り方」の会話のシミュレーションの授業が一度あったのです。ある日のスピーキングのクラスの生徒がアラサーの女性だけになったとき、同年代の女性の先生が急に提案してくれたのでした。

誘う男の役は先生。ニューヨーク在住で舞台経験もあるという女優さんでもありました。タバコに火をつけて吸う仕草などは、目の前にバーカウンターがあると錯覚するほど、あまりにもリアルで上手で、それだけでゾクッと鳥肌が立ったことを思い出します。(ニューヨークという土地柄なのか、この学校には役者経験がある先生は他にも何人かいて、「えっ、全部演技だったの?!」というサプライズの授業をときどきしてくれて、楽しませてもらいました。)

誘われる女性の役をもらった私でしたが、英文を組み立てるのだけで精いっぱいの状態、うまく切り抜けられる嘘を考えるような余裕は全くありません。断っても断っても誘う側は押しが強く、あの手この手の提案を次々してきて、断る逃げ道をどんどん塞いでいきます。このようなことが本当にバーで起きたら、私はどうなっていたんだろう?と思いました。

4.「人を見る目」の判断を鈍らせる3つのフィルター

4.「人を見る目」の判断を鈍らせる3つのフィルター

留学中の素敵な出会い。期待していない女性はいないと思います。ましてや結婚適齢期のアラサーなら、なおさらです。それ自体は悪いことではないと思います。

ただ、ぜひ知っておいて、気を付けてほしいと思うのは、日本にいるときよりも「人を見る目」は数段落ちている可能性が高いという現実。

例えば日本人同士の場合は、ほんの少し話せば、話し方と雰囲気である程度どんな人か、合うか合わないかはすぐにつかめるものだと思います。でも、母国語ではない言葉で、日本人とは全く異なる見た目と雰囲気を持つ外国人に話されると、言葉の細かいニュアンスはもちろん分からないし、短時間でどんな人かは、正確には分からないものではないでしょうか。「言葉の壁」と「人種が異なる」というフィルターがかかると、本当はどんな人なのかは、急に見極めが難しくなるものだと思います。

さらに、良い出会いを期待して積極的に人と仲よくしようとしているときに、フレンドリーに現地の人に話しかけられて会話が成り立ち、話が弾んだら、それはうれしくて仕方がないものです。これも相手が現実以上にいい人に見えてしまう特別なフィルターです。

少なくともこの3点は確実に、普段の判断力が落ちていることをぜひ認識しておくべきでしょう。友人としてだろうと異性としてだろうと、特に学校がかかわらない空間で知りあう人とは、日本にいるときの何倍も慎重にしたほうがよいと思います。

5.留学生活中、慎重にするか冒険してみるかの加減は難しい

5.留学生活中、慎重にするか冒険してみるかの加減は難しい

だったら、身元が分からない人同士のサークルのような場所に参加するのは危険?止めた方がいい?これは必ずしもそうとは言えません。

海外ドラマなどで、さまざまな依存症の人の会合の様子を見たことがある人も多いと思います。アメリカに限らず、匿名での集まりは外国にはよくあります。普通すぎて、そこへ参加することに疑問を感じる人はいません。一般的には、全く危険なものではないのです。
それなのに、その匿名性を問題視して危険視してしまうのは、「世界の常識から外れている日本」を感じてしまうところです。

ただし、そういった場所へ行ったとき、こちらは嘘をつく余裕はないけれど、相手は嘘をついているかもしれないことは、認識して警戒してもよいかもしれません。

留学中通して、私は英語で会話するときは英文を作るので精いっぱいで、気づけばバカ正直に自分のことを話してしまっていることはよくありました。このことで早く仲よくなれたことも確かに多かったのですが、場所とタイミングを間違えると、自分自身を危険にさらす可能性もあったと思っています。

今でも、私の周りが純粋にいい人たちばかりだったと信じていられる、私は運が良かったのだと思います。

慎重にしすぎると良い出会いも逃してしまいますが、素直に出会いを求めて受け入れると、危険な目に遭う可能性が出てきてしまう…。このことは常に、加減がとても難しい課題であると思います。

亡くなられた方のご冥福をお祈りします。

現在留学中もしくはこれから留学しようとしている女性たちに、この記事が参考になりましたら幸いです。