留学中に、日本の日常生活と異なる状況に触れる経験は、すべてが興味深いものです。しかし、中には危険と隣り合わせのことも多数あります。留学中は楽しいことも危険なことも、かかわるかどうかはすべて自分次第、何か悪いことがあってもすべて自己責任です。

例えば「薬物」、ドラッグについて心配したり期待したりしている人は、多いのではないでしょうか。アメリカには、マリファナが合法となっている州が複数あります。「合法なら、日常的に流通しているものなのか?実際に触れる機会はあるのか?」「合法ならやってもいいのか?」など、アメリカ留学を控えた人がきっと疑問に思っていることについて、情報提供したいと思います。

1.アメリカのマリファナは、日本のタバコのようなもの?

もちろんご存知だとは思いますが日本では、マリファナ(大麻)は「麻薬」として厳しく規制されています。使うだけでなくただ持っていることさえも違法です。たびたび有名人が逮捕されて、ニュースにもなっていますよね。

アメリカは、「日本ではあり得ない!」と驚くような寛容さがたびたびある国ですが、マリファナに関しては寛容なだけでなく、日本とは異なる背景や考え方もあって、使用することが違法ではない地域が複数あります。

情報検索していると、「アメリカでのマリファナは、日本のタバコのような気軽な存在で、タバコとは違って体に害がない分、むしろよい」などと書かれていることもあるのですが、果たして本当にそうなのでしょうか?

アメリカと日本は、歴史的背景、宗教、習慣、思考、嗜好、なにもかもが違う国です。「アメリカでいいとされているのだから、日本でもいいことにすればいい」「タバコとマリファナは同じ」というのは、安易すぎると思います。アメリカでマリファナの使用が州によって合法化に向いているのには、各州独自の事情や背景があるからで、それは日本には当てはまらないことかもしれません。

合法になっている州は?

マリファナの合法には、用途が分類されており「医療用」と「嗜好用」に分けられるのですが、「医療用」として使用を認めている州は25州もあります。カリフォルニア州、ワシントン州、ニューヨーク州、アリゾナ州、ニューメキシコ州、ミネソタ州、ハワイ州などがそうです。

「医療用」とは、医師の処方箋に基づいて、主には気分が落ち込みがちな病気の人のために、気分がよくなる薬として使われるものです。例えばアメリカのドラマでは、ガンで闘病中の人のためにマリファナを練り込んだブラウニーを作って食べさせる話や、仕事のストレスで鬱になった人が、マリファナを処方されて極端にハイになるといった話が出てくることがありますよね。(ちなみにこの話は、「デスパレートな妻たち」で見ました。)

「医療用」だけでなく「嗜好用」としても使用が認められている地域は、2017年3月現在で以下8つの州です。

  • アラスカ州
  • ワシントン州
  • オレゴン州
  • コロラド州
  • メイン州
  • カリフォルニア州
  • マサチューセッツ州
  • ネバダ州

なお、嗜好品としてのマリファナの使用には、タバコやお酒やギャンブルと同じように年齢制限があります。節度をわきまえるべきことだからですね。

みんなが使っているわけではない

いろんなことが、州ごとに住民投票によって決められているアメリカですが、嗜好品としてのマリファナの合法化も、住民投票によって決められるそうです。最近では昨年の11月8日、アメリカの9つの州で行われました。

マリファナについて最も理解がある州はカリフォルニア州で、医療用としての使用を全米で最初に認めたのもこの州です。1996年のことでした。そのカリフォルニア州でも11月8日にマリファナについての住民投票が行われ、「21歳以上の人に」使用や販売を認める決定がされました。

しかし、投票結果の内訳は「賛成57.13%、反対42.17%」です。多数決で合法になったとはいえ、半数近くの人々が依然として反対している事実は知っておくべきでしょう。他の州でも同様に、ほんのわずかの差で決まっています。合法になったからといってみんなが気軽に使っているわけではないこと、これで分かると思います。
» 参考(英語です): California Proposition 64, Marijuana Legalization (2016)

「合法だから」と使っていいわけでもない

なお、日本の大麻取締法では、日本国民の場合、日本国外の合法の地域での使用も処罰の対象となることになっているそうです。ここ重要だと思います。これからアメリカ留学される方はしっかり覚えておいてください。さらに、アメリカの国として連邦政府レベルでは依然として違法であることも、知っておいた方がよいです。

またアメリカ国内の州で住民投票の結果が出たとはいえ、合法が決まった州でもどんな法律にするか具体的に決めるのはこれからで、実際に流通が始まるのはまだまだ先の話だそうです。合法になったからいつでもどこでも使っていいわけではないです。

さらに、ネバダ州の例を詳しく紹介してくれている以下サイトの情報から、日本では思いつかないような理由によって、合法化が支持されていることが分かりました。
» 参考: 合法化されたマリファナ、ベガスに行けば吸えるのか

合法化を支持する日本人とアメリカ人の考え方は大きく異なる

マリファナを容認するべきとの意見は、日本語で調べてもたくさん出てきます。たいてい「タバコの方がずっと体に悪い。マリファナはアメリカでは合法のところもあって医療用にも認められているぐらいなのに、なぜダメなんだ。タバコはよくてマリファナがダメなのはなぜなんだ。」のようなことが書かれています。自分が吸ってみたいから、のような考え方ばかりです。これでは説得力もありません。

しかしアメリカの、マリファナ合法賛成派の人達の考え方は異なります。マリファナを吸いたくて賛成しているわけではなく、マリファナの売買が反社会勢力の資金源になっている現実を受け入れ、流通を法律化したり税金を科したりすることで資金源を撲滅する目的、ひいてはアメリカ国内全体の犯罪を減少させたい目的なのだそうです。

アメリカもいろいろなことに問題を抱えている国ではありますが、日本と比べるとなんだか、一人一人の思考レベルの高さやメディアの情報伝達レベルに大きな差があることを思い知りますね…。

日本でのマリファナや麻薬は、タブーに触れてはいけないような、情報が限られている状態であるため、正しい情報を得ることさえ難しいです。情報不足のまま安易に近づこうとするのは、やめたほうがいいことだけは確かです。

2.留学中、マリファナに近づく機会に遭遇することはあるのか

行動範囲によってはあることもある

合法か違法かと区分けする以前に、アメリカ国内の幅広い範囲にマリファナが普及してしまっていることは事実だと思います。マリファナ以外の麻薬も同様です。その理由は、反社会勢力の力が強いだけが理由ではないようです。

例えば、病院で処方される普通の薬が、使い方によっては麻薬のような効果が出ることがあり、それに目をつけた一般の人が違法に流通させるようなことも、実際頻繁に起きているそうです。ごく普通の大学の寮内で、学生が学生に対してそのような商売をしているとの情報もあります。

語学留学をして語学学校に通っているぶんには、そのような機会に触れることはほとんどないので、マリファナやドラッグに関してはどちらかというと、大学へ数年単位で留学する人のほうが、触れるリスクは高いことになるのかもしれません。アメリカ人の主に10代~20代の学生たちにドラッグに興味がある人が多い、そういう人たちに囲まれて生活する環境となる場合は、より注意が必要だと思います。

勧められたら…試してみる?断る?

私の語学留学中の例では、地元の社会人などと交流する、ほんの少しでもセックスパートナーを探す目的があるようなパーティーでは、確実にドラッグに触れる機会が、しかも早い時期に巡ってくるものだと感じました。

以前ご紹介した記事ではそこまで書きませんでしたが、実はあのパーティーのアジ専の男も、私の髪をやたら褒めたあと、持っていたマリファナを勧めてきました…。話し始めて5分もたたないうちに、です!
» 参考: アメリカ留学中、私もパーティーに行ける?楽しめる?

清く正しい(?)留学生活を送っていた私ですから、もちろん即断りましたけどね。

3.知識がないまま興味本位で試すことだけはしないで

アメリカでは、幅広く流通してしまっているドラッグや、ドラッグ依存症の問題は根絶できない問題であると認識されており、ドラッグに関する教育がとてもしっかりとされています。学校の授業でも習います。

それでもマリファナを試したことがある人は、アメリカ国内ではかなりの数で、「アメリカの大学に通った人はほぼみんな」などと言われていることもありますが、一度試しただけでそこで止めて、その先の危険なドラッグまでは進まない人が大多数です。彼らは、絶対にやってはいけないことだと知っています。

マリファナと麻薬の違いを知っていて、マリファナは体に害がないものと充分に知っているアメリカ人さえ、約半数がマリファナ合法化に反対している理由は、「あってもいいことがないから」でしょう。

私自身もドラッグに対する正しい教育を特に受けていない日本人の一人ですが、さらに残り半数の賛成派の人達のほとんども、最終的には根絶させる目的で、法の下で管理して流通させるために賛成しているという事実を知った今、日本でマリファナをタバコと同じレベルに考えている人たちのことを、恥ずかしくさえ思います。

大問題になっていることは事実

ドラッグに対する正しい知識があったとしても、何かのきっかけで引き込まれ、心が弱くて止められずに依存症や中毒になってしまう人が後を絶たないことは、アメリカだけでなく世界中で大問題になっています。

こういう人たちはたいてい「最初はマリファナだった」と言われています。「ゲートウェイ・ドラッグ」という言葉を聞いたことがある人もいると思います。興味本位でマリファナを吸い、別のドラッグにも興味を持って始めてしまい、依存症になっていると気づかないまま依存症になるようです。そうなってしまったら元の生活に戻れなくなることは、日本の有名人のニュースでもご存知だと思います。

なぜ留学しているのか?を常に忘れないで

マリファナやドラッグについて、どうぞ軽く考えないようにしてください。アメリカに留学して人生がよい方向に変わるはずだったのに、人生が狂ってしまう方向に進むための一歩は、絶対に踏み出さないようにしていただきたいと思います。

なぜアメリカに留学することにしたのでしょうか?留学中は、ときどき初心に帰ってみてください。マリファナを試すためにアメリカに来たのではないはずです。まずは勉強と、日常生活を健やかに送ることに集中してください。

楽しい留学生活となることをお祈りします。