最近のデザイン業界は、世界的にも大きな変換期にあるといえます。これまではデザイナーと感覚的なひらめきがマーケットを大きく動かしてきた時代でしたが、これからのデザイナーには一定以上の高いクオリティーのデザインを継続的に創り出すことが大きく要求される時代へと変化しています。
そのため各分野におけるデザイナーには、ビジネスやマーケットの動向を敏感にキャッチし、新しい感覚を常に新商品デザインへと落とし込んでいく技術も必要になってくると言えましょう。そのためにはデザインだけでなく、ビジネスやマーケティング、モードなどを学び、デザインの付加価値を提供できるデザイナーが今後重宝されると言っても過言ではありません。
幅広いマーケットと様々な分野において最先端国でもあるアメリカでは、デザインを学ぶとともにビジネスセンスやスキルを修得できる環境が充実している教育機関が数多くあり、今後必要とされるデザイナーの育成に力を注いでいる環境が準備されています。
アメリカは、将来デザイナーとして活躍したい人にとってさまざまなデザイン分野から学びたい専門分野を選ぶことができるだけでなく、またデザイナーとして必要とされる複合的な知識を得ることができるため、デザイナーとしてのキャリア形成のためには最適な国となっています。
1.アメリカのデザイン留学で学べるデザイン分野とは?
アメリカでデザインを学ぶ場合は、まずどの分野のデザインを学びたいのか、そしてどんなものをデザインしたいのか明確にしておく必要があります。なぜなら、アメリカでは「デザイン」と一言で括っても、その分野は細分化されており、より専門的なデザインを学べる環境が整っているからです。
アメリカで学べるデザインの分野は大変幅広く、ざっと思いつくだけでも以下のデザイン分野があります。
- アート関連分野:モダンアートやアートデザインなど
- ファッション・アクセサリー分野:ファッションデザイン、ブランドデザイン、ジュエリーデザイン、シューデザインなど
- IT関連分野:コンピューターを駆使したグラフィックデザイン、3Dデザインなど
- 建築関連分野:住宅やスペースを形作るインテリアデザインなど
- 広告関連分野:消費マーケティングには欠かせないアドバタイズデザインなど
- 製造・工業関連分野:今人気を集めているプロダクトデザインなど
アメリカは世界最大の商業大国であり、産業大国です。そのため、あらゆる業界分野には必ず専門のデザイナーがおり、IT関連をはじめファッション業界、広告業界、工業マーケティングや消費マーケティングなど目に見えないところで多くのデザイナーが活躍しています。
各分野において専門デザイナーが多いということは、それだけ多岐に渡るデザイン分野を学ぶことができる環境であることの証でもあるのです。
2.専門学校留学でもOK? 大学留学との違い
アメリカにはデザインを学ぶ環境として、デザイン専門学校も人気です。その人気の理由として、短期間でも受講可能なクラスが多く気軽に留学できることが挙げられます。
デザイン専門学校の中には、入学選考時にポートフォリオやTOEFLの基準スコアが不要な専門学校もあり気軽に留学できること専門学校もたくさんあります。そのため、学校や会社の長期休暇を利用して、アメリカのデザイン専門学校に留学する人も少なくありません。
また、英語力に自信のない人や語学留学を兼ねている人は、アメリカの語学学校に通いながらデザイン専門学校に通っている場合もあり、デザイン専門学校への留学には様々な留学スタイルがあるのも魅力でしょう。コース修了後はアメリカで活躍する人もいますが、日本へ帰国してキャリアアップやキャリアチェンジに繋げる人も多く、その可能性は大きく広がっています。
一方、アメリカの大学でデザインを専攻する場合は、まず大学の入学選考に合格する必要があります。大学側が指定する英語レベルに達していることはもちろん、ポートフォリオの提出する必要がある場合がほとんどです。また留学期間も最長で4年間となり、長期留学となる場合が多く、留学費用の総額も高額になる傾向があります。ただし学位取得となればインターンシップのサポートが充実している大学も多く、希望する業界にそのまま就職するケースもあり、アメリカで活躍できるチャンスも広がります。
3.アメリカデザイン留学の費用と期間について
①:アメリカデザイン留学費用
アメリカのデザイン留学で最も気になるのが留学費用ですが、留学費用のほとんどを占める学費は専門学校と大学では大きく差があります。特に4年制大学の場合には、州立大学と私立大学によって学費は大きく異なるので、志望校のホームページや願書などで学費、その他諸費については確認しておくと良いでしょう。
留学期間別 学費一覧
半年間 | 1年間 | 2年間 | ||
専門学校 | US$10,000~ | US$20,000~ | US$40,000~ | |
4年制大学 | US$5,000~US$21,500 | US$10,000~US$43,000 | US$20,000~US$86,000 |
4年制大学へ留学する場合は、上記でご紹介した一覧よりも留学費用はかかるため、別コラム「アメリカの大学留学費用について【期間別の概算費用と奨学金情報】」を参考し見てみましょう。また、留学期間にかかる生活費は留学先の都市によって異なりますが、一般的に東海岸よりも西海岸のほうが安く抑えられると言われています。
②:アメリカデザイン留学の期間
アメリカデザイン留学の期間は、留学する人、選ぶデザインコースによって様々です。デザイン専門学校を選ぶ人の方が短期留学の場合が多く、平均3ヶ月~1年間がもっとも多いと言われています。もちろん、デザイン専門学校でも2年間のデザインコースを選択する人もいるため、選択するデザインコースと留学可能な期間に応じで異なります。
大学でデザインを専攻する人の場合は、直接留学の場合は4年間、編入学の場合は編入する学年に応じて2~3年間の留学期間となり、いずれも年単位の長期留学期間となります。
4.デザイン留学におすすめの都市とおすすめ大学
アメリカデザイン留学におすすめの都市は、デザイン分野の名門校が集中していることから、東海岸ではニューヨーク、西海岸ではロサンジェルス、サンフランシスコなどカリフォルニア州の主要都市になります。
①:ニューヨークおすすめ校
ニューヨークでデザイン留学におすすめの学校は、パーソンズ大、ニューヨーク大学など芸術分野に特化した学部が人気の有名大学や、School of Visual Arts(SVA)、Fashion Institute of Technology(FIT)なども世界からも高く評価されるデザインプログラムが大きな魅力となっているデザイン教育機関です。
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②:カリフォルニア主要都市おすすめ校
ロサンジェルスやサンフランシスコにも全米でも屈指高いレベルを誇るデザイン学科のある大学が人気を集めています。カリフォルニア大学サンフランシスコ校や南カリフォルニア大学などが人気校として注目されています。
ここでは大学を中心におすすめ校をご紹介しましたが、留学する人のレベルに応じたプログラムを提供している各都市のデザイン専門学校への留学もおすすめです。専門学校への留学をお考えの際は、まず留学エージェントへ相談することから始めてみましょう。
5.アメリカデザイン留学するまでの流れ
アメリカへデザイン留学するスタートとして、必要となるのがポートフォリオの作成です。志望校によって入学選考でポートフォリオを必要としない学校もありますが、ほとんどの学校では願書提出と共にポートフォリオの提出が必須となっており、入学選考を大きく左右すると言われています。
留学を決めたら英語力の向上と共に、ポートフォリオの作成に入るようにしましょう。自分で作成するのが難しい場合は、留学エージェントに相談したり日本にも海外留学向けのデザイン予備校もあるので利用してみるのもよいでしょう。
いずれにしても、入学審査を通過しないことにはデザイナーとしても道は長いものになり可能性もあります。これまでの作品の中から、または新たに製作した作品の中から、目に留められるようなポートフォリオを作成するよう心がけましょう。
また、英語力は学校や日常生活で問題ないレベルであることに越したことはありませんが、デザイン専門学校の場合は語学学校に通うこともできるので、現地で生活しながら英語力をアップさせることも可能です。
ただし、大学留学する場合は志望校が指定するTOEFLスコア基準を満たしておくことが必須となります。一般的にTOEFL600~700程度、平均スコア650が基準となっている大学が多いようです。志望校をある程度絞り込んだら、TOEFL受験を繰り返しスコアアップに努めると良いかもしれません。
デザイナーはいわば「感性が研ぎ澄まされた人」で、その新しい想像力を新しいデザインへ投影できる人です。これから求められるデザイナーは、ただ新しいデザインや形を生み出す人ではなく、常にマーケットで必要とされている新しい形をキャッチできるアンテナを持ち、継続的に創り出す才能を持ったデザイナーでしょう。
日本にはないセンスとデザインスキル、そしてグローバルに対応できるビジネススキルをぜひアメリカで修得してみませんか?デザインと言う大きな世界が、あなたを待っています。