みなさん、ウーフ(WWOOF)というボランティア団体のことを知っていますか?
Working Weeends On Organic Farms の頭文字をとってWWOOF。読んで字のごとくファーム関係のボランティアワークです。ウーフはオーストラリアはもちろんニュージランド、カナダ、フランス、日本などに拠点を置く歴史のあるボランティア団体で、参加者をウーファー(WWOOFer)と呼びます。おもしろいですね!
ボランティアワークと言っても、ただ働いてそれで終わり…という感じではありません。賃金をもらわない代わりに食事と宿泊場所を無償で提供するというもので、ファームでの知識と経験をたくさん持ち帰ってもらおう!というような仕組みにもなっています。
ギブ・アンド・テイク的なプログラムですが、ファームホストとウーファー双方に利点があることで成り立っている素晴らしい団体です。今回はウーフについて、作業内容や作業時間、参加の申し込み方法などを中心にご紹介したいと思います。
ウーフ(WWOOF)ってなに?概要を解説します
まずはウーフの素顔をのぞいてみましょう。都会の喧騒を離れて過ごすファームでの日々。新しい発見やビックリ体験があなたを待っているかも?!
そもそもウーフとは?
ウーフはファームでの仕事を無給で行う代わりに、食事と宿泊場所を提供するという世界規模のボランティア団体です。オーストラリアでも人気のボランティアの1つで、国内では1981年にスタート。現在およそ2600ヶ所以上のファームが登録をしています。
麦・米・コーン・キャノーラなどのクロップを扱う穀物・作物系のファームや、牛・羊・豚などを扱う酪農系のファームがあります。ホストリストで場所や募集時期、仕事内容を確認しながら、気に行ったホストに直接申し込みのアプローチをかけます。
仕事・作業時間は?
ファームでの仕事内容は受け入れ場所によって異なりますが、主な作業内容は以下の通りです。個人的な経験も含めてご紹介します。
- 穀物や作物の収穫、仕分けや箱詰めなどの出荷作業 (最も一般的な作業)
- ガーデンのメンテナンス・草刈り・芝刈り・水やり、牛・羊・山羊・馬のエサやり
- 小屋の清掃など世話全般 (芝刈り機=ローンモウワーで芝を刈ったりできるかも?)
- ファーム周辺の清掃や薪割り (薪割は結構むずかしい)
- ファームに住む子供たちとお世話 (一緒に遊んだり、本を読んであげたり、勉強を見てあげたり、PCの使い方を教えてあげたり、寝かしつけたり…ファームママは忙しい)
- ファームでの食事の準備や後片付け (料理の得意な人はすすんで「やります!」と手を挙げてみましょう)
その他、犬の散歩、牛をパディックからパディックへ移動させるなどファームによって本当にさまざま。おおむね、作業時間は1日7時間程度が平均的ですが、日によっては4時間から5時間の時もあるようです。
また、ファームでの仕事は天候に左右されることが多いで、雨の場合はスケジュールが一転します。毎日雨の確立をチェックしながら「明日は午後から20ミリ降るから、今日のうちに…」そんな会話もファームならではです。
ウーフへの参加方法
まず、「オーストラリアン・ウーフブック」を購入(70ドル)してウーフへ登録をします。ウーフブックには受け入れ先のファームリストが記載されているので、自分で電話かメール、またはFAXで連絡をとります。
オンラインでの申し込みはWWOOF AUSTRALIAへ、また日本国内の正規代理店もありますので利用してみて下さいね。
ちょっとしたマナーとして気を付けたいのが、問い合わせの電話を入れる時間。夜9時以降の電話だけは避けるようにしましょう。英語のスピーキングに不安のある人は、EmailやFAXを使ってアプローチするのも得策ですね。履歴が残りますし、ホストもゆっくり返事が出せます。
また、体力に自信のない人は事前にその旨を伝えて、子供の世話や料理などが中心にできるかどうかも確認してみましょう。ホストに自分のことを知ってもらうことで、心地よいコミュニケーションも生れてきますよ。
補足:セカンドワーキングホリデーを目指す人へ
ファームでの仕事はセカンドワーキングホリデービザ申請の条件にもなりますが、WWOOFに登録している受け入れ先が条件に該当するかどうか、移民局やホストに確認をしてみてください。
また、賃金のやりとりがなく給料明細がないので、代わりに「雇用主証明=Form 1263 」をもらっておくと申請時に慌てなくて済みます。「オーストラリア=書類大国」と言われるくらい、記載項目が多く、書類の枚数が多いので、証明書や領収書、サインの入った紙関係はとっておくようにクセをつけておきましょう。1つファイルを買って古い順にはさんでいくと楽ですよ。
まだ迷う?オーストラリアワーホリ中にウーフへ参加するメリットとは?
まだまだあるウーフの魅力をご紹介します。興味はあるけど、今一歩、登録に踏み出せない方のために、さらなる魅力を挙げてみましょう。
メリット①:たくましい英語が学べます
毎日ファームホストやスタッフと英語でコミュニケーションをとることになるので、一年の間に生きた英語がしっかり学べます。ファームホストは生粋のオージーが多いので、英語はオーストラリアで生きて行くために必要な「たくましい英語」バンバン飛び交います。
都会暮らしでムシの苦手な人はいませんか?体長5センチのクモを見かけて驚いあなたに「They won’t bite you =噛みやしないよ!」と笑ってなごませてくれたり、雨が続いて不作が続いても「Such as life=人生なんてそんなもんさ」と笑い飛ばします。
メリット②:観光ビザや学生ビザでも参加はできます
ウーフはボランティア活動をする団体なので、就労に関わるビザは必要ありません。学生ビザはもちろん、3ヶ月しか滞在できない観光ビザでも参加できます。ウーフ参加ではビザで頭を悩ませる必要はないということですね。
メリット③:農業への興味が湧いてきます
日本をはじめ世界的にオーガニックブームですね。ファームでの生活で有機栽培や無農薬への知識を得られる上、普段口にしている食べ物がショップに並ぶ前にどのような過程を踏んでくるのか見えてきます。
今までは気付きもしなかった食べ物ができあがるプロセス。ファームでの仕事を通して農業への興味・愛着が湧いてくることでしょう。
メリット④:オーストラリアの生活の原点が体験できます
ファームでの仕事を通して、オーストラリアの生活の原点に触れることができます。オーストラリアは今にして近代国家と言えますが、ファーム地域一体では過去のオーストラリアが築き上げた生活の知恵やユニークなカルチャーが見え隠れします。
巨大レインタンクに雨水を貯めてトイレやガーデニングに使う、夏場に日が強く当たる場所に大きな気を植えて木陰を作る、馬や牛の糞を畑の肥料にするなど、学ぶべきところはたくさん!ファームには本来のオーストラリアの姿が生きています。
今回はウーフについてご紹介しましたが、いかがでしたか?ウーフは日本でも1994年に誕生し、現在では北海道から沖縄まで400のファームが登録をしています。私たちが日本からオーストラリアなどの海外へ農業体験をする一方、海外からも多くの人たちが日本の農業体験を求めてやってくるんですね。
家族のような温かい環境で学ぶ異国での農業体験は、お金には代えられない貴重な「何か」をあなたにもたらすはずです。ウーフでのファーム体験で自分流の知恵袋をどんどん膨らましていってくださいね。